建築と木のものづくり

街で伐られてしまう木を活かす。檜と杉の本当の魅力を提示する。いまここにあるものでつくる、私たちのこの時代、この土地ならではのものづくり。

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小さな厨子  

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大切なお客様の切実な思いから生まれた8角型の厨子(ご遺骨入れ)です。

シンプルな美しさ、華やかさのある上品な美しさ、掌に抱くことが出来る大きさと柔和さ、
お客様とのお話しの中から目指すことにしたのはそのようなことでした。

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実際かなり苦労してこの形にたどり着きました。八角形という案ははじめからあったのですが、仏具屋さんなどで扱っている宗教色が強いものの印象が強く、当初は敬遠していました。他の形の造形を散々試してスタディして、一周回ってやっぱり八角形に落ち着いたという顛末で。

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八角形の場合、部材の切断角度がシビアで四角形より格段に面倒です。コンマ1度でも角度が狂うと、全体でその8倍になってしまいます。

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素材は桜と栃(トチ)。上部の蓋のような部分を白くてきらめきのあるトチにしたのは、天窓のような雰囲気にして、故人の魂を閉じ込めるのではなく、どこか開放的に、天に通じているような雰囲気を出したかったからです。

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蓋の留め具は金物も検討しましたが、結局木で作りました。

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素材の組合せも相当な数を試して、実際に製作しました。クルミとブナ、桜とトチ、桜とブナ、桜とカリンなど。どの組合せもそれぞれに美しく、とりわけ森の母、森の女王などと呼ばれるブナはストーリー的にも良かったのですが、悩んだ挙げ句、伺っていた故人のイメージに最も近いと感じられた桜とトチのものを納品させて頂きました。

お客様には大変満足して頂くことができたのですが、なにしろ、会ったこともない人(私)に故人のイメージがきちんと伝わっていたこと、それが形になったということに驚かれました。お互いに不思議だよね〜と言いつつも、心のどこかでそれほど不思議とも思っていない感じもまたありました。人と人のコミュニケーションの不思議と奥深さを垣間見た思いでした。

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category: オーダー家具

tb: 6   cm: 0

ガラスショーケース(Mini Green House)  

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多肉植物など、観葉植物を入れられる室内用ミニ温室。ガラスショーケースですが、植物のために目立たないところに通気用のスリットが開いています。

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打合せによってその都度、スリットの量や場所は異なるのですが、今回は床面の左右に控えめに。

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扉の木材はできるだけ細く、視界を妨げないように。補強も万全。

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この後、植物好きのオーナーの元に旅立っていきました。

→Mini Green House(ガラスショーケース)

category: オーダー家具

tb: 7   cm: 0

くるみの本棚  

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材は飛騨のくるみ材。今回はこれでちょっとした本棚を作ります。
曲がったりもしていて木取りは面倒ですが、かなり太いです。

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これを大まかにカットし、形を整えていきます。

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今回の本棚はかなり奥行きが深いため、板剥ぎ(複数の板を貼り合わせること)をして、幅広の板を作ります。木目の具合など様々な要素を検討しながら、なるべくベストになるように組み合わせる板を決めて行きます。

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貼り合わせる2枚の板には両方とも写真のような溝を掘り、これにぴったりはまる別の材を作って凸凹を組み合わせるようにして接着します。雇いざね接ぎ、という方法ですが、こうすることで接着面積が格段に大きくなり、またさね(溝にはめ込む材)が入ることによって強度がアップします。

板と板を接ぎ合わせる方法には、イモ接ぎ(さねのようなものをなにも入れず、面同士をただ接着する)やビスケットジョイント(専用の機械を用いてビスケットと呼ばれる別材を飛び飛びに入れていく)やドミノ(ビスケット同様ドミノ型の別材を入れていく)など様々な方法があります。

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私が採用している方法は、ベタっと線で別材を入れるやり方で、古くからある最もオーソドックスな方法です。

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部材ができたらクランプで圧着して半日程度養生しておきます。出来上がった幅広の板にホゾとホゾ穴を作って組み立て、塗装をして完成です。

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テーブルや椅子などのような「脚物」と呼ばれる家具よりも、こうした板で作っていく「箱物」の家具こそ、無垢とそうでないもの(フラッシュ構造:表面に綺麗なシートを貼った中空構造のもの)との違いが際立つものはないかもしれません。軽量で安価なフラッシュ構造のものに対して、無垢材で作られた物は非常に重く、そして高価です。果たす機能は全く同じにも関わらず、重量も価格も数倍。無垢で作ることは、一見、壮大な無駄か自己満足のようにも思われます。しかしながら、人間の眼とはすごいもので、どちらが良いものか、遠目にもちゃんと分かるのです。

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真に上質な空間を作りたいと思ったら、何をおいてもまず、なにかのフリをさせるような材料の使い方を避けるのが近道ではないかと思います。木は木として、石は石として率直に使うこと。例えば木でないものに木目が印刷されたビニールのシートを貼って木のフリをさせたりすると、それが置かれた空間はとたんに、私たちが本当は求めていたはずの雰囲気から遠ざかってしまいます。そして人間の眼と意識(無意識)は、そのことをはっきりと見分けます。

なにも新建材や合板を否定しているわけではなく、新建材は新建材らしく、合板は合板らしく使えば良いのだと思います。フリをするから偽物になるのであり、自分らしくと言うかそのものらしく使ってやれば、新建材であろうと合板であろうと真実から遠ざかることはなく、求める効果から遠ざかることもない。形や仕上がりが多少いい加減でも構わないから、素材をそれ自体として率直に用いること。どんなに無駄と思えても、そうすることが結局は近道なのだと、個人的には思うのです。 

category: オーダー家具

tb: 7   cm: 0

イタヤカエデのデスク ーその2ー   

前回に引き続き、イタヤカエデのデスクをご紹介させて頂きます。

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4隅の丸脚は、六角レンチ一本で脱着が可能です。

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取手、本体と同じイタヤカエデ材から削り出して製作。

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抽斗の内部、側板にはクルミ材、底板には別件で購入していたサワグルミ(沢胡桃)を用いました。イタヤとは全く性質の異なる材ですが、同じように白っぽくてキラキラした光沢のある沢グルミは良く合うだろうということで引出の底板に用いました。幅広だったので継がずに一枚でまかなえるということもありました。

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自分で使いたいけど、そうもいかないのが辛いところ。
この写真を撮った次の日には、オーナーの元に巣立って行きました。

→板屋楓のデスク

category: オーダー家具

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イタヤカエデのデスク ーその1ー  

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オーダーにより製作したデスク+チェストです。
小学校の机のように抽斗はなし。(後から抽斗にもできます)
脚は取り外し式で、チェストにはキャスターが付いています。(写真は取手を取り付ける前の状態)

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材はいまや超希少材となってしまったイタヤカエデ。お客様には、当初、ブナ材をお選び頂いていたのですが、前々回の出張で高山の製材所に立ち寄った際、たまたま少量のイタヤが出ているのを発見、すぐさまお客様に電話をし、価格アップを伴う変更ではありましたが、快くご了承頂くことができたため、押さえることが出来た材料でした。

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イタヤカエデはブナと同様に肌色っぽい明るい色調の材ですが、
雲のようにふわふわとした、柔らかな表情の中に絹のような輝きのある、たいへん美しい木材です。

材質は極めて硬く重厚、粘り強く割れにくく、加工は困難、
材の欠点は黒っぽい色なので受け入れがたく、そこを避けて木取りをするので歩留まりが大変悪く、実際に必要な量よりもかなり余裕を持って材を仕入れておくことが必要です。今回も、少量とはいえあるだけ購入してあったのですが、欠点を避けて行くと少々材が足りなかったため、脚の部分には御師匠が秘蔵していた大きなイタヤの盤を使わせて頂いて、どうにか足りたというところでした。

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↑御師匠秘蔵のイタヤの盤。素敵な杢が出る銘木中の銘木と言える材でした。

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この盤から切り出した材料を、旋盤という木材を回転させる機械にセット、それに刃物を当てて削っていくことで、テーパーの付いた丸脚を作ります。下右写真はその削りカス、ぐるぐるとずっとつながっています。

(続く)

→板屋楓のデスク

category: オーダー家具

tb: 4   cm: 0

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