建築と木のものづくり

街で伐られてしまう木を活かす。檜と杉の本当の魅力を提示する。いまここにあるものでつくる、私たちのこの時代、この土地ならではのものづくり。

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11月の木:柿の木のカトラリー  

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この時期、実が熟し葉っぱの紅葉も美しい柿の木。

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ちょっと時間を遡って今年の夏、近所の空き家の取壊し現場。気がつくと敷地にあった大きな柿の木はトラックの荷台の奥でした。

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ガサゴソ、、、どこいった?

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助っ人参上。家から持ってきたトビで引っ張り出します。あちこち引っかかっててそう簡単には出てきません。

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ようやくお目見え。立派なものです。

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柿の木は、時期にもよるようですが、伐採したてで乾いていない状態で製材すると、柿の実とそっくり! 黄色みがあり、細かく黒い筋が見られます。

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部分的に墨が溜まったような箇所がちらほら。柿の木自体、蓄積量の少ないレア材ですが、木材業界では写真のような黒成分が多く、木材全体に墨が浸潤したようになっているものは「黒柿」と呼ばれ、銘木として珍重されています。

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そうしたわけで、木材業界で見かける木は黒柿が多く(というかほとんど黒柿で)、柿材=黒柿、くらいにとらえている人も多いのではないかと思います。

上の写真の木材は、伐られたてを製材せず、ある種の環境に置いておいてから製材したもの。黒成分が墨のように浸潤しています。

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柿の木のカトラリー。伐採後に時間を空けずに製材したものをそのまま大切に乾かした材で製作したのが、写真のカトラリーです。木材は緑がかった濃い緑灰色。刃物との相性が良く、特に気を使わなくても綺麗に仕上がります。

住宅街などでも意外と見かける柿の木、剪定したちょっとした幹でも、スプーンくらいは作れます。もし柿の木を伐る機会があったなら、ぜひ活用してみていただければと思います。

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小学校のシンボルツリーの伐採と活用  


先日、とある小学校のシンボルツリーの伐採に立ち会って参りました。

樹種はヒマラヤスギとプラタナス。どちらも堂々たる大木です。校舎の建て替えに伴うやむを得ぬ伐採計画ですが、今の生徒さんだけでなく、これまでの卒業生も含めて多くの方々にとって特別な意味を持つ木です。移植することも相当に検討されたようですが、最終的には伐採やむなしとの結論に至り、伐られることになりました。

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伐った後の木材を卒業制作で使う素材や鶏やうさぎの飼育小屋の新築に利用する、ということになったため、木材として利用する前提の伐採をすることになりました。

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まずはヒマラヤスギの枝払い。落とした枝も、生徒さんの工作の材料にすべく良いものをピックアップします。樹間のあたりは、おそらく高さを抑えるためであったのか、一度主幹をバツッと切られており、そのために枝分かれしていました。またバツッと切られた主幹から腐朽が進行してもいました。

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ヒマラヤスギからは、飼育小屋の柱や梁などの建築材を採ることを目指します。節が多く年輪は粗、狂いも相当に出ることと思われます。本来、根元のあたりは木材としては適さないのですが、工作の材料にすることはできますので、根元ぎりぎりから伐りました。根元から1mくらいは工作の材料に、そこから上3mは飼育小屋の構造材にする予定です。

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毎年の剪定ではなく、何年か放っておいて数年毎に大きく剪定していたことがうかがえる年輪。剪定がない時期の成長が極めて大きく、年輪密度が粗いのは、一本立で周囲にライバルがいないので、のびのびと枝を張って成長したためと思われます。

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こちらはプラタナス。永年性がんしゅと呼ばれる病と闘っていることが、外観からわかります。木材としては、どの程度使える部分が残っているのか心配でしたが、かなり頑張っていたと言って良い状態でした。

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とは言え、腐れは全体的に進行しています。卒業制作の素材に使いたいという希望に応えるべく、本来であれば木材化に適さない(効率が悪いため)部位の幹もできるだけ回収して製材に回すことにします。

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主幹。外観から予測されたよりはかなり頑張って健康な部分を残していたと言えますが、永年性がんしゅ以外にも虫による食害が広がりつつある状態でした。

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かなり大きな虫さん。先端に近い細い幹も含めて、回収した幹の全てに穴を開けていました。幹によっては中心部がグジュグジュのシャーベット状になっているものもありました。

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時期によるものもあるのでしょうが、かなり色素が詰まって赤みの強い状態でした。

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切り株にも腐朽と虫食いの穴が見られます。伐られてしまうことは残念で悲しいことですが、今の段階であれば、それなりに使える木材を得ることが可能です。結果的には良い伐り時であったと言うこともできるかもしれません。

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二台のトラックに分乗して、これから製材所に向かいます。製材の様子は、また改めてご報告させていただきたいと思います。伐採に関わった皆様、ありがとうございました。

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街の木12樹種に会えるカフェ aona様の家具紹介その2  


街の木12樹種に会えるカフェ aona様の家具紹介、桜新町の桜のテーブルです。

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Cafe aonaのメインの椅子席となる3連のテーブルは桜新町で伐採された桜の木で作りました。

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地域の人々の春の楽しみにもなっていた立派な桜でしたが、マンションの建設工事に伴い伐採されてしまいました。

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大変太い木で残念ではありますが、街の桜は大抵傷んでいるものです。「桜伐る馬鹿梅伐らぬ馬鹿」という言葉がある通り、桜は剪定によって痛みが入りやすく、かといって街中の木である以上剪定なしとはいきませんし、街中で桜の老木を維持するということは大変難しいことなのです。

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製材して人工乾燥にまで入れて出てきた木材の半分は、写真のように腐れが入っていて使い物になりませんでした。

製材屋さんも、傷んでいることを製材した時点で見抜いてそこで止めてくれれば良かったのですが、製材したての瑞々しい材は傷んでいても美しいもので、経験不足な職人さんではとりあえず乾燥させてみよう、と思ってしまうのも無理はないので仕方ないと言うべきでしょうか。

とは言え結構な費用を払って人工乾燥までした挙句、出てきたら燃やして温まるくらいしか使い道がないのでは気分は複雑です。

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乾燥が終わって工房に運んできた健康な部分。ここからどうにか3枚のテーブルの天板(と1台のちゃぶ台の天板、数台の椅子の背もたれの材)を採ることができました。

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傷んでいる部分が多く、何枚もの板を接合して天板を作らざるを得ませんでしたが、それでもその木目は大変に美しく、手間を掛けるに価するものでした。

木工の世界では基本的に桜類では外国産のチェリー、国産では山桜がほとんどで、シウリ桜、上溝桜が稀に使われるくらいなのですが、こうした街の桜もとても魅力的なので今後も活かして行ければと思います。

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カフェaonaの家具紹介:エノキの大テーブル   


先日、京王線調布駅前にオープンした「カフェaona」さんでお使いいただいている街の木で作られた家具を紹介させて頂きます。

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第一弾はお店で一番大きな2mの大テーブル。材はエノキです。江戸時代に一里塚として植えられた木で、木材として使われることもある木ですが、都内の家具屋さんを巡ってエノキの家具を探しても果たして見つけられるかどうかというくらい今ではあまり使われていない木材です。

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このエノキは、世田谷区桜新町のマンション建設現場で伐られました。こんもりとした森のような敷地だったのですが、この敷地にあった木は一切合切伐られて更地にされてしまいました。

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直径は最大1.1m、これだけ大きな広葉樹(広葉樹の多くは機械の鋸で切るのも大変なくらい堅いのです)となると、製材できる製材所も限られます。色々と検討した結果、日本有数の木工の街、岐阜県高山市の馴染みの製材所から10t車に来てもらい、運んでいただきました。

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エノキのほかにも桜や山桜、夏みかん、サルスベリなど、積めるだけ積んで回収しました。

木材のプロであれば写真を見てすぐに分かることですが、このぶっといエノキも含めて木材ようの丸太としてはほとんど値がつかない丸太です。太いことがほとんど唯一の美点であり、ねじれたり枝分かれしたり欠点だらけで、木材として使うには苦労が多すぎるのです。

運び込んだ先の高山市でこれを見た人は「薪でもいらないわ」と言いました。薪にするには丸太を割って小さくしなければなりませんが、癖のある木はすんなり割れてもくれませんので、燃やせるようにするのも楽じゃないというわけです。

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なにはともあれ製材しました。桟を間に挟んで積み上げて、風通しの良いところで乾かします(自然乾燥)。

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自然乾燥をはじめてから数ヶ月、2階建ての家くらい積み上げられていた板をフォークリフトで下ろしてもらって、どんなもんかといったんチェック。

「・・・」

「あんまり綺麗じゃないね・・・(むしろ汚い・・・)」

「・・・」

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エノキ材は白っぽい材ですが、黒っぽい条が入りやすく、材それ自体を見た場合あまり美しいとは言い難いのです。

ナラ(オーク)やブナ(ビーチ)のようなナチュラルモダン調で喜ばれる感じでもなく、山桜(チェリー)やクルミのような褐色系の美しい木目で好まれる感じでもなく、メープルのように明るくキラキラして美麗な感じでもない。

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正直、どう扱ったものかとかなり悩みました。材を一部東京に持ち帰っていろいろといじくりまわしていたのですが、そうこうするうちに、どうもこれは「石」のような感じだと思うようになっていきました。

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ピカピカした石ではなく、巣の入った大理石のようなイメージ。そんな気持ちでデザインすれば、良くなるのではないか? そう考えて、このカフェの主役となる3台の大テーブルの材として採用することを決めました。

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エノキ=みにくいアヒルの子、綺麗じゃないなぁという第一印象だったエノキの評価は、今回の経験を経てまったく違ったものになりました。本当はもう一台作って自分で欲しかったのですが、木材に全く余裕がなく、それは叶いませんでした。


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「カフェ aona 」東京の街で伐られた木、12樹種に会えるカフェ  


「街で伐られた木を活かす」という取り組みの成果が、ここにひとつの形になりました。

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京王線調布駅前に今月オープンする子育て支援施設、「こどもとフラット」の半分を占める大型飲食施設「Cafe aona」(運営:NPO法人ちょうふ子育てネットワーク)、ここで使われる家具のほとんどが、調布市、世田谷区、大田区の各地で伐採された街の木で作られました。

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世田谷区桜新町で伐られたエノキの巨木、冒頭写真の大きなテーブルは、この木で作りました。エノキの隣に倒れている桜の木は、客席テーブルの天板や椅子になりました。(製作:湧口善之、株式会社 建築と木のものづくり研究室

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桜のテーブルと桜の椅子。桜は伐採時の写真でもわかる通り痛みが激しく、痛んでいない部位を選り分け選り分け、ようやく出来たのがこれらの椅子とテーブルです。この現場では他にも山桜やソメイヨシノなど何本もの大きな桜の木が伐られましたが、みんなこのaonaに戻ってきています。

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aonaと同じ調布市で回収したケヤキ。椅子とテーブルやちゃぶ台の脚になりました。このトラックに載っているのは左からスダジイ、柿の木、栗、揚げている途中の丸太がケヤキです。スダジイは椅子に、柿の木と栗は椅子とちゃぶ台の天板になってaonaに戻ってくることができました。

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ちゃぶ台:柿の木、エノキ、ケヤキ、栗、桜(樹種不明)、山桜の6樹種を使用。

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たくさんある椅子は、桜(樹種不明)、山桜、栗、ケヤキ、エノキ、夏みかん、スダジイ、モッコク、柿の木と9種類の街の木で。街のあちこちに生えていた異なる種類の木々、皆それぞれに材の質感が異なって個性的なのですが、不思議と森のように調和しています。

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(はんこ製作:Garage Yokoyama エノキにはいつもたくさんの小鳥が集まっているのです。)

ここで出会える街の木は、エノキ、山桜、樹種不明の桜2種、ケヤキ、栗(食用栗)、柿、ナツミカン、スダジイ、モッコク、クスノキ、クロマツの12種類。それぞれの家具の目立たない所に、樹種とその木が生えていた場所が記された小さなプレートを付けましたので、探してみて下さい。

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カフェ aona」、4月21日オープンです。子育てをテーマとする施設内にありますが、どなたでも利用可能です。お料理も素晴らしく、お母さんが毎日子供に食べさせたいと思うような、愛情溢れる家庭料理です。価格もリーズナブルなので、近所にお住まいであれば毎食ここでもいいくらい。

お近くの方はもちろん、とりわけ木や木工、家具やインテリアに興味があるという方は、ぜひ遠くからでもいらしてみて頂ければと思います。

category: 街で伐られた木を活用

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